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社説 手形・小切手削減ペース上げよ

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 2026年度末までに交換所での手形・小切手交換枚数をゼロにする金融界の自主行動計画に遅れがみられる。21年は年510万枚の削減目標を95%達成したが、22年の達成率は67%(削減目標は536万枚)に後退した。産業界の理解を高め、協力して削減スピードを上げていかないと最終目標の達成が遠のく。
 産業界でも約束手形の利用廃止へ自主行動計画の策定が進んでいるが、懸念されるのは業種によって意識の差があることだ。半導体製造装置と印刷では26年までに約束手形の利用を廃止するとした割合が1割を切っている。発注側企業には廃止すれば、「資金繰りがつかない」などの危惧がある。「上位の取引先から約束手形で支払われる」ことも妨げになっている。
 サプライチェーン全体で約束手形廃止へ協調する必要があり、政府の一層の後押しを期待したい。金融機関は、手形による資金繰りを代替する融資商品の開発なども検討すべきだ。
 22年は小切手の減少割合が21年の15%から10%に鈍化した。「手形・小切手機能の全面的な電子化に関する検討会」の調査報告書が指摘するように、取引の相手方の意向や商慣習見直しを面的に働きかけていくことが欠かせない。地方公共団体が振込手続きに際し、小切手を渡すケースも多く、金融機関は地公体のデジタル化を後押ししていく必要があろう。
 約束手形などの移行先の一つになる「でんさい」の発生記録件数は22年も前年比106万件(23%)増となり、高い伸びとなった。引き続き金融業界を挙げて普及に取り組んでもらいたい。
 インターネットバンキング(IB)など電子決済サービスの導入を促すことも重要だ。導入しやすい料金体系への見直しや、活用してもらうための継続的支援は欠かせない。北国銀行は法人IBの基本手数料無料化や使い方教室の開催で利用率を高めている。2023.4.28


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