「ニッキンONLINE」創刊!
 
HOME > 「ニッキン」最新号から > 社説 > 社説 商工中金改革で民間連携の加速を

社説 商工中金改革で民間連携の加速を

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 商工組合中央金庫を民営化する改正商工中金法が6月14日、参院本会議で可決、成立した。政府が保有する約46%の株式を2年以内に全て売却した後に、民間銀行とほぼ同様の業務を扱えるようになる。
 2016年に、国が利子補給する「危機対応業務」で不正が発覚し、民間出身の関根正裕社長の下で抜本的な組織改革を進めてきた。現在のビジネスモデルは金融界からも一定の評価を受けている。民営化後は経営の自由度が増すことになるが、これまでの改革の方向性を堅持すべきだ。
 政府保有株の完全売却後は、中小企業組合とその構成員である中小企業のみが株主資格を持つ組織に変わる。商工中金は87年前に中小企業専門金融機関として誕生。法改正で、その性格がより強まる。
 ただ、商工中金の取引先は、比較的規模の大きい中小企業が主体だ。全国に99カ所の拠点を持つが各店舗の営業人員は10人に満たない。358万社の中小企業群をより幅広く支援するには、各地域で高いシェアを持つ地域銀行や信用金庫、信用組合との連携が欠かせない。改正法には地域金融機関と連携を図ることが明記され、民業圧迫回避規定も残された。中小企業支援という同じ目的を持つ金融機関同士、過度に競うよりも手を組む方が効果は大きいはずだ。
 関根氏は法律成立直後に本紙インタビューに応じ、「地域金融機関と手を組んで(全国各地の)地域活性化に取り組む」と語った。「低金利での(融資残高の)ボリューム拡大や肩代わり攻勢はもう一切やらない」とも明言した。
 中小企業の経営課題は多岐にわたり、資金繰りだけでは解決できない問題も多い。法改正によって、再生企業への出資可能比率が高まり、中小企業の人手不足を補う登録型人材派遣業務や、デジタル化が遅れている企業向けのシステム提供も可能になる。計画的に支援機能を高め、金融と非金融の両面から中小企業を支える体制を築いてほしい。2023.6.23


ニッキンのお申し込み

ご購読のお申し込みは、インターネット・FAXで受付けしております。

申込用紙をFAX(03-3262-2838)またはお近くのニッキン支社・局までお送りください。

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事