「ニッキンONLINE」創刊!
 
HOME > 「ニッキン」最新号から > 社説 > 社説 AI時代見据え新聞週間に臨む

社説 AI時代見据え新聞週間に臨む

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 「きょうもよめた すこしだけおねえさんになった」。9月6日に日本新聞協会が応募総数1万1249編から選んだ「新聞週間標語」の佳作の一つだ。書いたのは福島県の保育園に通う6歳の少女。漢字と漢字の間のひらがなを懸命に指で追う姿が目に浮かぶようだ。昔はいかめしい顔で紙面に見入る大人がたくさんいて、新聞は世の中の動きを知るために最も手っ取り早い情報ツールだった。
 日本で新聞週間が始まったのは戦後間もない1948年。米国にならった。毎年10月15日から1週間、関連団体がキャンペーンを張る。最大のイベントは、日本新聞協会が10月18日に開く全国新聞大会。開催地は各都道府県の持ち回りで、76回目の今年は長野県軽井沢町で行う。研究座談会のテーマの一つは「AI(人工知能)と新聞」。AIが新聞記事を書く時代が到来しており、今後は「AIに 書けない寄り添う 記事がある」(佳作)紙面を作れるかが配信側の課題となる。
 本家の米国では伝統的に全国紙よりも地方紙が主流だが、近年は地方紙の廃刊が相次いでいる。広告がインターネットに流れたことが主因という。世界的に新聞の発行部数が減る半面、ニュースメディアが増えている。ただ、ニュースサイトの記事の多くは、新聞社や通信社が配信したものだ。将来、紙の媒体は姿を消すかもしれない。しかし、デマや事実誤認がないかフィルターにかけ、どの記事が重要かをプロの目で判断する編集機能の重要性は不変だろう。情報があふれるネット時代の方がむしろ重宝される可能性もある。
 本紙が加盟する日本専門新聞協会が今年選んだ新聞週間キャッチフレーズは「激動の 時代の潮流 読み解いて 未来へつなぐ 専門新聞」(優秀作)。専門分野の今を掘り下げて、時代の先を見通す一助になるような記事を届けられているだろうか。その自戒を込めて、新聞週間に臨む。2023.10.13


ニッキンのお申し込み

ご購読のお申し込みは、インターネット・FAXで受付けしております。

申込用紙をFAX(03-3262-2838)またはお近くのニッキン支社・局までお送りください。

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事