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社説 「金利復活」へ踏み出した1年

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 2023年の金融界は、本業のビジネス環境に大きな転機が訪れた。デフレ脱却へ長らく続いた日本銀行の異次元緩和政策が修正され、「金利の復活」が視野に入ったことだ。低空飛行が長引く預貸業務が再び活発化するとの期待は大きく、本紙読者が選んだ「金融界10大ニュース」からも関心の高さが示された。
 1位は「日銀、植田和男総裁が就任」。経済学者である植田氏の起用は当初、金融界でも驚きをもって受け止められた。大規模緩和から“出口”への軟着陸という難しいかじ取りを託され、7月には「イールドカーブ・コントロール(YCC、長短金利操作)修正」(8位)を決めた。
 日銀は10月にも再修正し、長期金利1%超えを容認。定期預金金利を引き上げる金融機関が全国で相次いだ。マイナス金利の解除観測も広がるなか、企業向け貸出金利の引き上げ交渉が急がれる。
 金融市場も変動した。11月1日、為替市場で「ドル円、再び151円台」(10位)に円安が進展。米国の金融引き締め長期化観測で日米金利差拡大が意識されたためだが、その後は円高基調に。日米の金融政策修正への思惑に市場は“揺れ”が続く。
 一方、同月20日には日経平均株価が「バブル崩壊後最高値」(7位)を更新。「新型コロナ5類移行」(6位)による経済正常化を受けた企業業績の好調さが背景にある。「新NISA(少額投資非課税制度)開始」(5位)も個人マネー流入を通じて株価上昇に追い風となりそうだ。
 他方、金融界に大きな課題が突きつけられた出来事も相次いだ。9月、金融庁が「ビッグモーターと損保ジャパンに立ち入り検査」(2位)のニュースでは契約者軽視のもたれ合い構造が露呈した。「全銀システムに障害発生」(4位)は半世紀にわたる安定稼働に対する“過信”が根底にあったとされる。信頼回復に向けて、改めて顧客本位の意識徹底が求められる。2023.12.22


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