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社説 SOMPOは企業文化刷新を

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 金融庁は1月25日、自動車保険金を不正請求していた中古車販売大手ビッグモーターとの取引をめぐり、損害保険ジャパンとその親会社のSOMPOホールディングスに業務改善命令を出した。保険代理店であるビッグモーターの不正を防げなかっただけでなく、同社を得意先として優遇することで不正を助長したきらいがある。こうした事態を招いた主因として、同庁はグループ全体のいびつな企業文化を挙げており、従来の組織や業務内容を総点検する抜本的な出直しが求められる。
 同庁は両社への立ち入り検査で関係者にヒアリングを重ね、「顧客利益よりも自社利益に価値を置く」「上意下達」「ネガティブ情報が適切に報告されない」という企業風土を把握した。こうしたカルチャーは過去に不祥事を起こした多くの企業にも共通する。
 一方、今回の改善命令で特異なのは、親会社の強いプレッシャーが子会社の経営判断を誤らせたと指摘した点だ。損保ジャパンの白川儀一前社長は、不正請求の疑いを知りながらビッグモーターとの取引再開に踏み切った。前任者が過去最高益を出した直後に社長を引き継ぎ、数字を作るための自己保身だった。ただ、その背景には「(利益確保を求める親会社が)経営判断を誤らせるほどの焦燥感を与えた面がある」(金融庁)。
 金融持ち株会社の主たる存在意義は子会社の経営管理にある。子会社が事実を包み隠さず報告・相談ができる関係を築けなかったのは親会社側にも責任がある。金融庁は親会社の不作為を子会社と同等の落ち度とみており、他の金融持ち株会社にとっても自己を鑑みる教訓となりそうだ。
 顧客本位の視点を欠いた、自社の営業成績を優先する悪弊は、大手損保4社の保険料事前調整問題にもみてとれる。損保業界の不祥事が相次いでいるが、長年のあしき慣習を正すには絶好の機会でもある。徹底した自己改革なくして、信頼の回復は望めない。2024.2.2


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