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社説 資産形成を大きなうねりに

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 1月に始まった新しい少額投資非課税制度(NISA)が順調な滑り出しとなった。日興リサーチセンターによると、1月の公募投資信託への純資金流入額(上場投信除く)は推計1兆2950億円と、2023年の年間純流入額の約2割を占めた。「貯蓄から投資へ」の流れを一過性に終わらせないため、金融機関は資産形成を後押しする地道な提案活動を続けてほしい。
 資金流入で目立つのが国内外の株式で運用する指数連動のインデックス型投信だ。グローバル株式(ヘッジなし)には1カ月で約1兆2千億円の純流入があった。「長期・分散・積み立て」という資産形成に向き、手数料の安さもあって資金が集まったのは自然な流れだ。投資になじみのなかった若年層が運用を始めるきっかけとなろう。
 今後、運用を長続きしてもらうためには無理のない範囲での投資が不可欠。カネとホンネ調査研究所のアンケート結果では、新NISAで「月額いくらで投資するか」との問いに、回答の平均が「6.1万円」、中央値は「3万円」だった。販売側の金融機関は顧客一人一人の資産状況などに基づく、身の丈に合わせた提案が求められる。
 新NISA口座開設後の稼働状況にも注意を払ってほしい。金融庁によると、旧・一般NISAでは5割以上の口座が不稼働(22年)だった。口座獲得を急ぐあまり、顧客への制度やメリットの周知をおろそかにすれば、その二の舞いになりかねない。金融リテラシーの向上とセットにした推進が大切だ。4月に発足する官民の「金融経済教育推進機構」が果たす役割も大きい。
 新NISAは現状、低コストの投信が多く、金融機関が高い収益を上げられる仕組みではない。だが、新NISAが呼び水になって個人の投資が動き出せば、他の運用商品への波及も期待できる。金融界は資産形成に向けた投資行動の変化を大きなうねりにつなげてもらいたい。2024.2.16


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