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社説 郵政民営化の逆行に終止符を

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 自民党内で、郵政民営化を拒む動きがまたぞろ出てきた。政局が混とんとして総選挙の臆測が強まるたびに繰り返されてきた光景だ。国際的に類を見ない規模に肥大化した郵政3事業の民営化は難事業だが、郵政民営化法の成立から既に19年が経った。これ以上、郵政改革を阻害することで集票を狙うような、政争の具にはすべきではない。
 自民党の「郵便局の新たな利活用を推進する議員連盟」は、今の国会に郵政民営化法改正案を提出しようと動いている。同法は日本郵政に対し、保有するゆうちょ銀行とかんぽ生命保険の株式をできる限り早期に売却するよう求めている。当初は2017年9月末までに金融2社の株式を完全売却する方針だったが、12年の法改正によって売却期限のない努力規定に後退した経緯がある。議連は、この努力義務の廃止を目指すという。
 実際に法案提出に至るかは現時点では不透明だが、民間金融機関は警戒を強めている。議連はゆうちょ銀の預入限度額の撤廃など、金融2社に対する規制緩和も検討しており、全国銀行協会や生命保険協会のトップが公式会見の場で相次ぎ懸念を表明した。金融2社の背後に国家の存在がちらつく間は、公正な競争条件が確保できないという主張は妥当だろう。実際、国の信用力が金融2社の規模拡大を下支えしてきた歴史がある。
 法改正を求める全国郵便局長会(全特)は自民党の有力な支持基盤だ。しかし、民間企業として新たなビジネスモデルを模索する日本郵政グループの手足を縛るような政治介入はもう終わりにすべきだ。
 日本郵政は、21~25年度の中期経営計画で金融2社株の保有割合を50%以下に引き下げる方針を示しており、かんぽ生命の持ち株比率は50%を切った。だが、その先の道筋は明示していない。今後も政治的関与が続く可能性は残るが、まずは当事者として国と国以外の株主に対して自らの計画を提示する必要がある。2024.2.23


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