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社説 信託ソリューション発揮の好機

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 政府が掲げる資産運用立国やアクティビスト(物言う株主)の増加を背景に、信託業界に対する期待が高まっている。運用会社や年金基金の運用力強化、株価純資産倍率(PBR)改善など企業価値を向上するための助言で重要な役割を担うためだ。信託のソリューション力を存分に発揮する好機にしたい。
 資産運用立国プランでは新興運用会社の参入障壁の是正が盛り込まれた。その具体策が、投資信託の価格を運用会社と信託銀行で二重計算する非効率な慣習の解消だ。信託銀による一者計算になれば、運用会社はファンド運営により多くのリソースを割くことができる。既に公募投信の計理事務などの受託サービスを始めた信託銀もあり、取り組みの広がりに期待する。
 年金基金などアセットオーナーの機能強化も重要な分野だ。インフレや金利上昇といった運用環境の変化で年金資産の実質的価値を目減りさせない対策が必要になる。小規模の企業年金では体制整備が難しい先もあろう。信託銀は複数の確定給付企業年金の資金を合同運用してきたノウハウがある。今後も企業年金ごとのニーズに寄り添い、運用力強化を支えてほしい。
 企業価値向上においても役割は大きい。東京証券取引所が上場企業に「資本コストや株価を意識した経営」を要請したほか、最近は株主提案に積極的な機関投資家がPBRの低い企業への発言を強める傾向にある。信託銀はこうした株主と企業の対話をつなぐ位置にいる。不動産の売却などによる資本効率改善だけでなく、企業の事業計画策定まで踏み込んだコンサルティングが一層重要になる。
 「金利ある世界」でも信託の貢献余地は広がる。資金調達する企業側は金利負担が増すだけに、保有資産を活用したアセットファイナンスの提案につなげられる。時流に合わせ、いかに信託機能の強みを生かしていくか。信託各社は知恵を絞ってほしい。2024.4.19


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