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社説 相場乱高下で試される提案力

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  株式市場が前例のない変動に見舞われている。日経平均株価は8月5日に4451円安と過去最大の下げ幅を記録し、6日には一転して3217円高と最大の上昇幅を付けた。歴史的な乱高下に動揺した個人投資家は多いはずだ。不透明な投資環境にある今こそ、投資信託を販売する金融機関は顧客への丁寧なフォローが求められる。
 日興リサーチセンターによると、8月7日は公募株式投信で約1600億円の資金が流出。リーマン・ショックやコロナショック時の日次ベースの流出額を上回った。円高の急進で利益確定売りが進んだとみられるが、新しい少額投資非課税制度(NISA)で投資を始めた層にとって株価急落は初の経験で、投信の基準価額下落から焦って解約する動きもあったようだ。
 相場急変は日本銀行の追加利上げとそれに伴う円高、米国経済の変調など複合要因が背景にある。日銀の金融政策は正常化の途上にあるほか、11月の米大統領選を始め国際情勢は不透明。当面は不安定な相場が続き、今後も基準価額の急変が予想されるが、そういう時こそ長期的な分散投資の継続が重要になる。金融機関の提案力が試される。
 そのためにも、市況が荒れた際の対応を改めて点検したい。投信購入者へのフォローとして市況情報の提供はもちろん、一定の評価損が生じた顧客には電話や訪問での相談を強化し、投資目的の確認や適切な資産配分のアドバイスを徹底する。ただ渉外担当が対応できる顧客数にも限りがあり、本部支援の充実が欠かせない。本支店一体でのきめ細かなサポートが重要だ。
 今回の激しい相場変動を巡っては、日銀の市場との対話不足を指摘する声もある。一段の利上げに積極姿勢を示したことがサプライズと映り、乱高下を招いた。日銀は債券市場だけでなく、株式や為替の市場参加者とも定期的に会合を開くなどコミュニケーションの場を広げてほしい。2024.8.16


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