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社説 選挙前に新政権の政策明示を

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  10月1日、石破茂氏が首相に就任した。自民党総裁に選出後の最初の取引となった株式市場で、日経平均株価は4.8%も下落。いきなり市場の洗礼を受けた。金融緩和に前向きな総裁を期待した「高市トレード」の巻き戻しだが、石破氏の経済政策が不透明な一面も見過ごせない。
 石破氏が総裁選に際して公表した政策集からは、経済・財政分野の明確なスタンスが見えてこない。岸田政権の政策を踏襲する印象が強いが、早急に経済対策や成長戦略を取りまとめるとも言及しており、その発表を待って中身を精査する必要がある。
 政策集には「経済・金融・市場等戦略本部(仮称)」や「新しい地方経済・生活環境創生本部(仮称)」を創設する案も盛り込まれた。だが、新組織を作って刷新感を演出するだけでは意味がない。既存組織との役割分担を明確化できなければ、屋上屋を架すことになりかねない。行政組織の肥大化を防ぐ視点から、国民の監視が必要だろう。
 金融政策については、日本銀行による政策運営の自由度が維持されそうだ。総裁選で接戦を演じた高市早苗氏は、追加利上げをけん制する発言が物議をかもした。一方、石破氏は日銀の判断を尊重する姿勢が目立った。市場の動揺でやや発言を修正したものの、政府から過度な干渉を受ける懸念が弱まったことは金融界にプラス材料となる。
 首相就任前から衆院解散・総選挙の日程に言及したのは、権力基盤の弱い石破氏の危機感の裏返しだろう。「内閣発足直後の支持率が高いうちに」「野党の共闘体制が整う前に」という焦りや戦術が先に立った印象は免れない。
 総裁選の地方票には約105万人の党員・党友の意思が反映された。だが、その数は国政選挙の有権者数の1%にすぎない。解散は拙速の感が否めないが、総選挙で国民の意思を問う以上、短期間であっても政策面の判断材料を最大限示さなければならない。2024.10.4


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