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社説 「持続的な利上げ」の堅守を

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 日本銀行は1月23、24日の金融政策決定会合で、市場の事前予想通り0.25%の利上げを決めた。植田和男総裁は会合後の記者会見で、今後も利上げを進める考えを表明。その時期やペースは示さなかったが、2025年中にあと2回の追加利上げを実施して、1%まで政策金利を引き上げる可能性がある。このシナリオが実現すれば、金融機関経営に強い追い風となる。
 日銀が持続的な利上げ局面を経験するのは、福井俊彦元総裁の下で一時的に0.5%まで引き上げた時代を除くと、約40年前のバブル経済崩壊前までさかのぼる。今後の利上げは、現役の日銀関係者にとっても未知の領域だ。
 前回の24年7月の利上げはサプライズとなり、市場に動揺を与えた。その反省からだろう。今回は入念な地ならしをした。氷見野良三副総裁と植田総裁が1月14~16日の3日連続で、次回会合で利上げを行うか議論すると発言し、1月利上げを市場に織り込ませた。金融緩和局面であればサプライズが歓迎されることもあろうが、利上げ局面の市場とのコミュニケーションは難易度が高まる。今後、日銀はその対話のスキルを一層洗練させる必要がある。
 日銀が24年12月に示した多角的レビューでは、黒田東彦前総裁が推し進めた異次元緩和について、大規模かつ長期的に継続すれば副作用のリスクがあると指摘した。仮に1%まで政策金利を上げたとしても、景気循環が反転すれば簡単にゼロ金利に逆戻りしかねない水準にすぎない。
 日銀は今回発表した展望レポートで、25年度のコアCPI(消費者物価指数)の伸び率を1.9%から2.4%に上方修正した。円安に伴う輸入物価の上昇や食料価格の高騰により家計の節約志向は高まっており、国内の個人消費に影を落としている。「金利ある世界」を常態化させるためにも、今後の金利調整では景気を過熱も失速もさせない緻密なかじ取りが求められる。2025.1.31


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