社説 震災14年、いまだ遠い出口
3月11日で東日本大震災から14年となる。政府は、2011年3月の地震発生から2カ月後に金融機能強化法改正案を国会に提出。同年6月に成立、7月に施行された。時限的に設けられた震災特例は、国が金融機関に資本注入をする際、経営責任を問わないことや収益性などの数値目標を課さないなどの優遇措置を適用する内容だった。金融機関が申請しやすい環境を整えなければ、結果として被災地の金融機能低下を招きかねず、復興を急ぐうえで意義のある判断だった。
震災特例は17年3月に終了したが、その間に12金融機関に総額2165億円が注入された。被災地の金融システム崩壊を防いだ功績は大きい。ただ、東北の人口減は止まらず、地域経済が抱える課題も多い。七十七銀行は15年6月に公的資金を全額返済したが、残る11金融機関は返済に向け今後正念場を迎える。
新たな課題もある。震災後、二重ローン問題を解決するため、国は二つの機構を設立。両機構は事業者救済のため、銀行から震災前の貸出債権を買い取り、元金の支払い猶予や利息減免を通じて、新たな資金調達を助けた。比較的規模の大きい中小企業が対象の産業復興機構に比べ、小規模事業者が対象の東日本大震災事業者再生支援機構は苦難をしいられている。支援企業747社のうち、昨年12月末までの支援完了先は49%。支援期間は法律で15年間と定められており、多くの支援先が2~5年後に期限を迎える。
一般的な出口としては、事業者が自力で債務を返済するか、金融機関から新たな融資を取り付けて機構から債権を買い戻す必要がある。残る支援先のなかには再生が難しい事業者も含まれている。金融機関は機構に債権を売却した時点で一部を債権放棄しているが、それに加えて出口段階でどこまでリスクを負うべきか難しい判断を迫られる。震災から14年たった今も、被災地の金融支援は続いている。2025.3.7
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