社説 地域への責任を結果で示せ
伊予銀行を傘下に持つ、いよぎんホールディングス(HD)と愛媛銀行が経営統合を目指すことで合意した。地元の愛媛県内では、強いライバル関係にあり、周辺金融機関からは驚きの声が聞かれた。経営状況も良好なだけに、なおさらだが、人口減少を見据えれば自然にも見える。
愛媛県の人口は126万人。四国4県で最も多いものの、2060年には65万人台まで減少すると見込まれている。環境変化が両社で競争するより、力を合わせて地域を支える力を強くする道を選ばせた。7月24日の会見で愛媛銀の西川義教頭取は人口減少に加え、「多くの業種で大きな転換期にあり、手を組むことが地域に最適」と述べた。統合後、「最適」の結果を地域に示せるかが試される。
愛媛県は日本の海事産業の集積地であり、両社もシップファイナンス(船舶融資)分野で日本のトップクラスを走る。造船は政府が定めた戦略17分野の一つで、今後、多額の投資が見込まれる。統合により競争力が高まれば、グループの成長につながる。
一方で1万人以上を雇用する主要産業の一つである製紙業は、ペーパーレス化や原材料価格の高騰で厳しい環境にある。25年2月には新聞用紙4位だった丸住製紙が民事再生法の適用を申請した。他の業種でも人手不足や後継者難に悩む企業は多い。
東京商工リサーチの調べによると、両社を合わせた県内企業のメインバンクシェアは76%に達する。地域のメインバンクとして事業者の課題解決支援へ責任は重くなる。
地域銀の統合発表は26年に入って3件目。25年も2件あった。四国地区に限れば、10年に香川銀行と徳島銀行(現徳島大正銀)が、トモニHDを設立して以来だ。30年11月に期限を迎える独占禁止法の合併特例などを踏まえ、再編機運がさらに高まるとの見方もあるが、冷静に地域と自らの将来を見据えて判断してもらいたい。2026.8.7
ニッキンのお申し込み
ご購読のお申し込みは、インターネット・FAXで受付けしております。
申込用紙をFAX(03-3237-8124)またはお近くのニッキン支社・局までお送りください。


