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3月30日号 過去に固執せず難局打開を

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2018年度が始まる。地域金融機関を取り巻く環境は長期化する超低金利、人口減少、異業種の参入など逆風要因が多い。市場のボラティリティも大きくなっている。しかし、環境のせいばかりにしてはいられない。かねがね指摘されるように持続可能なビジネスモデルを見つけ出せなければ、より厳しい現実に直面する。経営統合や連携、業務改革など、あらゆる手段を検討し、地域や利用者に真に必要とされ、選ばれる金融機関に変わらなければならない。
 17年度中間期の地方銀行の貸出金利息は13年度中間期に比べ約1300億円減少。第二地方銀行も同期間に約550億円減っている。低金利政策が影響し、貸出で稼ぐ力は弱まっている。役務取引等収益は増える傾向にあるものの、貸出金利息に比べまだ規模が小さい。利用者に納得して手数料を支払ってもらえるよう金融サービスを磨く必要がある。単純な値上げでは利用者離れを招きかねない。
 業務改革は待ったなしだ。IT技術を活用した事務効率化などで、人員を顧客との接点拡大へ振り向け、収益確保につなげたい。人口減少やキャッシュレス化の進展を見据えた店舗・ATM網の見直しも求められる。店舗の営業時間を自由化した金融庁は営業日規制の緩和も検討しており、より柔軟な営業形態を追求していくべきだ。
 合併や経営統合は、持続可能性を高める有効な選択肢の一つになるが、千葉銀行と武蔵野銀行、四国地区の地銀4行にみられるような連携戦略も注目されている。互いの強みを生かし、弱みを補完し合う方法は一つではない。過去のしがらみにとらわれず、取引先により良いサービスを提供できるかという視点で判断すべきだ。メガバンクも資本のつながりなど従来の親密関係を超え、業務や技術で連携を強めようとしている。
 フィンテック企業をはじめ、金融機関以外との連携も重みを増す。利用者のニーズは多様化しており、便利であれば、金融機関以外の金融サービスを容易に受け入れる若い世代が増えている。従来の延長線上で考えていては難局打開は難しい。

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