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4月6日号 新社長の下で民業補完徹底を

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 一連の不正融資問題を受けて、商工組合中央金庫の新しい社長に3月27日、関根正裕・元プリンスホテル取締役常務執行役員(60)が就任した。前日まで追加の不正発表に追われ、過去のうみをすべて出し切れたのか疑問が残るなかでの船出だ。険しい道のりは予想されるが、関根新社長には、民業補完に徹し中小企業の役に立つ金融機関として生まれ変われるよう、これまでの経験を生かして陣頭指揮にあたってもらいたい。
 2016年10月に鹿児島支店で発覚した危機対応融資の不正は全国でみつかり、3月26日発表された自治体の制度融資に関する不正など577件を含めると約5500件にのぼる。極めて異常な事態だ。新社長の下、全職員が襟を正し、一丸となって改革を進めなければ失われた信頼は取り戻せない。
 関根新社長は第一勧業銀行(現みずほフィナンシャルグループ)時代の総会屋事件収拾やプリンスホテル再建などの手腕を評価されての登板だが、商工中金の再生も容易な仕事ではない。商工中金のあり方を検討してきた有識者委員会が1月にまとめた報告書では4年後をめどに改革の状況をみて完全民営化を判断すべきとされており、時間は限られる。
 委員会が示したミドルリスク融資に特化するビジネスモデルへの転換も一朝一夕には難しい。関根社長は「以前はミドルリスク融資を積極的にやっていたが、ここ数年は危機対応融資に傾き、手薄になっていた」とみる。ただ、「ノウハウはある」との手応えも得ており、職員が危機対応融資を武器にする姿勢を改め、意識を変えて取り組めるかにかかっている。 
 主務官庁である経済産業省・中小企業庁も、再生へ責任の一端があることを忘れてはならない。経営を監視する第三者委員会を設置したことに終わらず、改革を後押しし、完全民営化を目指すべきだ。また、会計検査院が民業圧迫の実態調査に乗り出すなど、政策金融機関には厳しい目が向けられている。当面、政策金融機関として出直す商工中金も含めて、改めてその役割を認識してもらいたい。2018.4.6

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