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社説 6月1日号 規制緩和を店舗戦略に生かせ

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 金融庁は、今夏にも当座預金を取り扱う店舗の平日休業を解禁する方針を打ち出した。金融界の要望を受けたものだ。金融機関は規制緩和を生かして、金融サービス維持と経営効率化を両立させる視点で、店舗戦略を再検討すべきだ。金融庁は、同一店舗内に複数の銀行店舗が入居する共同店舗内の職員兼務も認めるとしており、さまざまな店舗運営形態が考えられる。
 メガバンクグループは大規模な店舗統廃合を進めつつ、相談機能を強化する次世代店舗戦略を加速させる方針だ。一方、地域金融機関では地域への配慮から、収益性の視点だけで店舗統廃合を進めるのは難しい面があり、平日休業の活用は現実的な選択肢となり得る。
 平日休業にすれば、顧客の利便性低下は避けられないが、店舗機能は維持され、完全撤退より顧客の理解は得やすいはずだ。地域銀行や信用金庫で広がっている昼休み時間にいったん店を閉める形態の店舗も、今のところ大きな苦情はでていない。不便さを感じている利用者は皆無ではないにしろ、店舗がなくなれば、より不便になると受け止める利用者は多い。
 金融機関にとってもメリットはある。金融庁が想定しているような近隣のA店、B店で営業日をずらせば、2店舗の運営がより少ない人員で可能になる。持ち株会社傘下にある銀行同士が同一店舗に入居するようなケースでも、兼業規制緩和により少人数化できる。また、過疎地に競合する金融機関店舗があるような場合、将来的に共同店舗として、1店舗だけは存続させ、互いに職員を融通し、協力して過疎地の金融を守るという方法も考えられる。
 人口減少やICT(情報通信技術)の進歩により、金融機関の来店客数は減少傾向にある。店舗の収益性に影響を及ぼし始めており、中長期的視点で店舗戦略を見直す必要がある。地域の金融インフラを維持することは地域金融機関の大きな使命とはいえ、赤字の店舗をそのまま維持すれば、自らの持続性を危うくする。今回の規制緩和で、どのような店舗運営が可能か、急ぎ検討してみるべきだ。2018.6.1


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