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社説 6月8日号 殻破り新しい収益モデルを

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 地域銀行105行の2017年度決算がまとまった。地方銀行合計の単体当期純利益は7979億円で16年度比0.3%増加したものの、第二地方銀行は6.8%減った。貸出金利回りの低下は続いており、厳しい状況から抜け出せていない。実質業務純益は5行で赤字となった。人口減少や超低金利政策の長期化を見据え、適正な利益を確保できるビジネスモデルを見つけ出す必要がある。非金利ビジネスを強化しつつ、低金利の貸出競争から脱却しなければ、収益性の改善は遠い。
 地銀の貸出金利回りは1.17%で16年度比0.07ポイント低下。第二地銀も0.08ポイント下がり1.45%となった。下げ幅こそ縮小しているものの底打ち感は、まだない。一部でみられた貸出金利息収入の増加も、量の拡大で凌いだ面が大きい。預貸金ビジネスの収益力は明らかに低下しており、新たな収益源を育てる必要性は一段と高まった。
 有望なのは事業承継やビジネスマッチング支援などを有料で行うコンサルティング業務による非金利収益の強化だ。取引先のニーズは今後、ますます高まるとみられるだけに、その質を上げていくことが大事だ。さもなければ、この分野でも価格競争を招くことになる。
 低収益貸出の見直しは急ぐべきだ。低金利の大企業向け貸出を抑制する地域銀行は増えている。地元取引先の課題解決を通じて、適正な金利を確保すると同時に、創業・事業再生支援を強化し、地域経済縮小のスピードを緩やかにしなければ、経営基盤が揺らぐ。
 また、有価証券運用でも明暗が分かれた。自らの体力以上にリスクをとるような行為は持続性を危うくする。
 5月1日に3行が合併し発足した、きらぼし銀行の渡邊壽信頭取は、顧客に向け「金融にも強い総合サービス業」を目指すと発信している。また19年の新卒採用者に向けたメッセージには「銀行をこえる銀行へ」(紀陽銀行)、「銀行から、はみ出せ。」(鹿児島銀行)などの言葉が並ぶ。自ら殻を破り、新しい銀行モデルを作り上げられるかが問われる。2018.6.8


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