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社説 金融界のモラル低下が心配だ

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 金融界のモラル低下が懸念される。7月13日、東日本銀行が不適切融資などを理由に金融庁から業務改善命令を受けた。スルガ銀行ではシェアハウス関連融資を巡り、第三者委員会の調査が続いている。三菱UFJモルガン・スタンレー証券社員による国債先物市場での相場操縦もあった。このほかにも耳を疑うような横領・着服が散見される。金融業は他産業以上に信用・信頼を重んじてきたはずだ。不正や不祥事の発生を容易に許してしまうようでは金融業の体をなしていない。不正・不祥事を起こした当該金融機関は当然だが、金融界全体で襟を正してもらいたい。
 東日本銀では、明確な対価のない手数料徴収や架空の営業所を登記させ、融資をしていた事例が多数見つかった。スルガ銀も融資関連書類を改ざんしていた疑いが強まっている。営業・収益偏重になり、顧客本位を見失ったと、批判されても仕方ない状況だ。
 誰しも不正を行えば、いずれ露見し、信用を大きく損なうことは分かっているはずだ。それでも不正に手を染めなければならない状況に追い込まれているなら、組織やガバナンスにどこか欠陥がある。
 収益環境が厳しさを増すなか、実現性の乏しい収益計画のもとに営業店に過大な目標を課したりするのは不正の誘因になりかねない。経営陣がしっかりと現状を分析し、厳しい環境をどう克服していくのか、現場と意思疎通を図ることが重要だ。
 商工組合中央金庫の不正融資問題でもみられたように、一部で不正が通れば、組織全体にまん延していく。不正を見逃さない管理体制を構築するとともに、自浄作用が働く組織にしなければならない。抵抗感を覚える人が少なくない内部通報に対する意識を変える必要もあろう。機能すれば、不正の早期発見だけでなく、抑止効果を期待できる。不正を知りながら、目をつぶるのは言語道断だ。
 組織ぐるみの不正は何をかいわんやだが、金額の多寡を問わず横領・着服は信用を大きく傷つける。金融人の矜持(きょうじ)が今、問われている。


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