ニッキン抄 2024.10.25
小倉百人一首は、自身も優れた詠み手だった藤原定家が歴代の名歌からお気に入りをえりすぐった。定家の日記によれば、息子の婚姻相手の父親から別荘に飾る色紙を書くよう頼まれたことが後世に残る傑作選を編むきっかけとなった▼和歌には題材に応じて「部立て」という分類がある。百人一首では「恋」の43首が最多。次点は「秋」の16首で、うち5首は紅葉の歌だ▼紅葉は外国人旅行者にも人気が高い。落葉広葉樹は寒さに弱く、北米や欧州では氷河期にほぼ絶えた。それが残る日本列島の紅葉は色彩の豊かさにおいて世界有数らしい。今年は訪日外国人数が4年ぶりに過去最高を更新する見通し▼紅葉以上にインバウンド景気に貢献しているのが円安だ。ただ、「弱い円」は長期的にはマイナス面が大きい。通貨の価値を守る金融当局者たるもの、当代政治家の声よりも後世の評価を胸に、冷徹に将来を見抜く“読み手”であらねばならない。2024.10.25
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