ニッキン抄 4月13日号
上に行くほど反り返しが激しくなる「武者返し」の石垣が、無残に崩れ落ちた映像を思い出す。2年前に起きた熊本地震直後の熊本城の惨状である▼二度にわたる震度7の揺れは加藤清正が近江の石工集団を呼び寄せ築かせた石垣をも破壊し、熊本県を中心に大きな被害をもたらした。現地では人手不足や資材高の悪条件があるなか、住宅再建など復興作業が懸命に続けられている▼肥後銀行など地元金融機関も自然災害債務整理ガイドラインに沿って丁寧に対応しており、頼られる存在になっている。他地区の金融機関からノウハウを教えてほしいと、講演依頼が多いと聞く。熊本銀行は高騰する建築資材対策として、地元産の竹を加工し、割安な建築ボードを製造する事業者を融資で後押しした▼全国的に被災地への関心低下が心配され始めており、金融界はできる限り支援を続けたい。復興の道のりは長い。熊本城の修復には20年かかる。忘れるのは早すぎる。
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