社説 4月13日号 ATM戦略の再構築が必要
あおぞら銀行が自行のATMを、ゆうちょ銀行のATMに置き換えることを決めた。収益環境が厳しさを増すなか、ATMの維持・管理コスト負担は各金融機関で重くなっている。利用者が少ないATMを撤去したり、営業店のATM台数を減らす動きもある。利用者利便を極端に低下させては顧客離れを招くが、不採算のATMを放置すれば、収益力を弱めることになる。キャッシュレス化の流れも見据えたATM戦略の見直しが必要だ。
全国銀行協会の決済統計年報によると2017年9月末の金融機関ATM・CD設置台数(ゆうちょ銀、コンビニATM除く)は約10万9千台。5年前と比較すると約1500台減っている。都市銀行では若干増えているものの、地方銀行は約600台、第二地方銀行は約700台減少。信用金庫・信用組合は、ほぼ横ばいだ。
ATMは設置費用だけでなく、メンテナンスや現金管理業務などのランニングコストがかかる。あおぞら銀行によれば、ATM事業から撤退することにより、年間数千万円のコスト削減につながるという。
ATMは多機能化し、店頭の人手削減にも大きな効果を発揮している。しかし、今後の人口減少、キャッシュレス化の流れを踏まえれば現金需要の低下は避けられない。自前主義を貫くのか、一考の余地はあろう。
ゆうちょ銀に限らず、セブン銀行などコンビニATMは全国展開しており、撤退するATMの代替としては有力な候補になる。その際、決め手になるのは顧客に発生する手数料をどの程度まで負担するかだ。全額顧客に押し付ければ、納得は得られないだろう。一方で金融機関の負担が重くなれば意味がない。
また、共同化も考えてみるべきだ。近隣に異なる金融機関のATMがある場所は少なくない。通帳記帳を重視する向きはあるが、無通帳化(電子通知)も進んでいる。レジで現金を引き出せるキャッシュアウトサービスで代用できる場合もあるだろう。顧客利便性維持とコスト削減の観点からATM戦略を再点検してもらいたい。2018.4.13
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