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社説、業務停止の重さ受け止めよ

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 金融庁は10月5日、不正な融資や法令順守態勢に重大な問題があったとしてスルガ銀行に、一部業務停止命令を含む行政処分を行った。銀行に対する業務停止命令は極めて重い処分だ。スルガ銀は真摯に受け止め、信頼回復に取り組まなければならない。生半可な対応では到底、傷ついた信用を取り戻すことはできないと覚悟すべきだ。
 2002年度以降、反社会的勢力との取引や優越的地位の乱用で、業務停止命令を受けた大手銀行や外国銀行はあるが、地方銀行では初めてだ。投資用不動産向け融資だけでなく、反社会的勢力との取引やマネーロンダリング対応の不備、創業家のファミリー企業に対する不適切な融資も指摘された。悪質性が高く、問題の根は深い。
 創業家と決別し、再建を指揮することになった有國三知男社長ら経営陣はもちろん、行員一人一人が事の重大性を再認識する必要がある。また、他の金融機関も、不正の代償がいかに大きいか心してもらいたい。
 スルガ銀は創業家を中心とした経営故に、他の金融機関がまねできないビジネスモデルへの転換を実現できた面もある。創業家の後ろ盾を失った後での再生は容易ではない。有国社長は同日の会見で「リテール中心に業務運営していく」としたが、不動産融資がとん挫しており、従来のような高収益経営は望めない。
 金融庁は投資用不動産融資に関して金利引き下げなど柔軟な対応も求めた。シェアハウス向け融資により人生が狂った人もいる。全容解明を急ぐと同時に顧客の立場に立って誠心誠意、救済に応じることが再生への第一歩となる。
 今回の件では金融庁も問題を見過ごしてきた検査のあり方について自省している。検査の着眼点などを見直す必要はあろうが、金融機関が不祥事防止へ金融庁の検査を当てにするようでは、その姿勢が疑われる。すべての金融機関が自浄作用の働く組織を作り、不正や不祥事を起こさないように努めなければならない。積み重ねた信用も、一つのきっかけで容易に瓦解(がかい)することを肝に銘じておくべきだ。2018.10.12


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