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社説 共同化は利用者視点で運営を

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 メガバンクがライバル関係を超えて協調路線にかじを切った。三菱UFJ銀行と三井住友銀行は、2019年度から店舗外ATMを共同化する方針を固めた。キャッシュレス決済の進展でATM利用が減るなかで、自前主義を捨てて共通化できる分野で手を組むのは自然な流れだ。厳しい収益環境下、金融界で広がるATM提携はコスト削減できる一方、サービス低下を招かないように地域の利用者目線に立った運営が大切になる。
 ATM共同化で協議を進める両行は、まず無人のATM拠点を相互開放する方針。一方に口座を持つ利用者は両行合算で2千拠点以上のATMで入出金手数料が無料となり、利便性が一気に高まる。今後はみずほ銀行など他行にも参加を呼び掛ける一方、近隣の拠点は廃止する方向だ。機能を限定したATMの共同開発も念頭にあり、一段の低コスト化が期待される。
 他行ATMへの相乗りは地域銀行でも進む。京都銀行は10月から大阪府や滋賀県などのエリアでゆうちょ銀行のATMを利用した自行顧客の手数料を無料化。他方、自行ATMは150台減らし効率化する。福島銀行や中京銀行も同様の取り組みを始めており、“選択と集中”の動きは広がる公算が大きい。
 現金輸送や維持管理コストがかさむATMの共同利用は、低金利下での収益確保策として合理的な判断だ。デジタル化の流れのなかで「各行がATMを張り巡らせる必要性は薄れている」(メガバンク幹部)面は確かにあろう。ただ、合理化で顧客サービスが低下しないように十分気を配ってほしい。
 金融広報中央委員会の18年調査(2人以上世帯)では、取引金融機関を選ぶ理由のトップは依然「近所に店舗やATMがあるから」。この割合は長年変わらない。キャッシュレスは確実に進展していくが、当面は顧客サービスの手段として一定のATM網は維持すべきだろう。
 収益性の低い店舗も減損処理が迫られる。今後は過疎地などで規制緩和された共同店舗運営が検討されよう。その際も顧客の不満を招かないように利便性と効率化の両立が必要だ。2018.11.23


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