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社説 民業補完実現へ対話続け

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 財務省は4月から、日本政策金融公庫の融資制度を改正する。金利見直し、貸付条件明確化、融資枠の縮小などが柱だ。民間金融機関との意見交換であった要望を聞き入れたもので、民業補完の原則徹底へ一歩前進した。対話により、制度の見直しが図られることは大きい。現場レベルも含めて、引き続き丁寧に意思疎通を図り、民間金融機関の理解が得られる制度整備に努めてもらいたい。地域経済活性化には、民間・公庫それぞれの適切な役割発揮が必要だ。
 今回の見直しについて全国銀行協会など金融5団体は、「民業補完の実現に向けた第一歩が踏み出された」と評価しながらも、依然として制度や運用面に起因する競合事例は残ると指摘した。金利など制度面は主に政府、営業現場で起きる民業補完の域を超える不適切な対応については公庫が責任をもって引き続き改善を図ってもらいたい。
 田中一穂・日本公庫総裁が本紙2018年4月13日号のインタビューで「誤解を解きたい」と述べているように、現場では対話不足から招いてきた批判もある。政府、公庫、民間金融機関の3者で対話を深め、一つ一つ溝を埋めていくしかない。
 足元で日本公庫との連携・協調融資は増えている。同公庫が18年度上期に実行した創業支援融資は前年同期間とほぼ同じ約1万4千件だったが、地域金融機関との協調案件に限れば37%増加した。進み出した連携・協調の流れを、より確かなものにしていく努力が双方に求められる。創業支援に限らず、信用リスクの観点から民間金融機関だけでは対応が難しい案件はある。事業再生支援での連携も欠かせない。
 人口減少などにより、地域経済は疲弊感が濃くなっている。地元金融機関はそれぞれ地域活性化へ取り組んでいるが、公庫も思いは同じだろう。民間の不信感があっては政策効果の発揮を難しくする。商工組合中央金庫の危機対応融資を巡る不正にみられるように、国の予算が割り振られる政策金融機関は予算消化を目的とはき違える危うさがある。政府には柔軟な予算のあり方も検討してもらいたい。2019.2.15


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