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社説 危機意識共有し、承継支援を

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 政府は円滑な事業承継に向け、矢継ぎ早に政策を検討・実施している。後継者難による廃業の増加に危機感を強めているためだ。2019年度税制改正では18年度に大幅に拡充した中小企業向けの事業承継税制優遇を個人事業主にも拡大する。また、事業承継を目的とする場合、地域銀行の出資に関する5%ルールを見直す方向だ。金融界も当然、危機感を持っており、官民足並みをそろえて対応していくことが重要だ。
 1月に開かれた全国銀行協会など金融団体の賀詞交歓会で、麻生太郎金融相は、事業承継支援の必要性を訴えた。麻生節は金融機関の姿勢を不十分と言わんばかりだっただけに、反論したくなった出席者もいたかもしれない。しかし、待ったなしの状況は確かだ。中小企業庁によれば25年までに経営者が70歳を超える中小企業は245万社。うち約半数の127万社が後継者未定とされている。
 国家的課題となるなか、全国地方銀行協会は5%ルール見直しを要望した。これまでに事業承継支援を行った結果、見えてきた障害だ。
 事業承継の手法としてM&A(買収・合併)を選択しても、すぐに相手が見つかるとは限らない。一時的に地域銀行が5%を超えて資本参加できれば、時間の猶予が生まれる。その間に事業価値を高め、相手を探しやすくなる。やみくもに出資を増やすことはできまいが、地域の中核企業で承継がままならない場合などは有効な選択肢となろう。地域経済を守るうえでも有意義な対応だ。
 事業承継税制拡充の効果は大きい。中小企業の承継時に相続税や贈与税の現金による負担をなくすなどし、改正前に年400件前後だった事業承継税制申請件数は18年度4千件に迫る勢いだ。今後、優遇税制は個人事業主にも設けられる。信用金庫・信用組合は個人事業主との取引も多いだけに、制度の周知・活用に向けた働きかけを強めてもらいたい。
 親族間でも事業承継は切り出しにくいという。難しさはあれども、金融機関が早めの対応を促す意義は大きい。2019.3.15


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