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社説 不退転の覚悟で信頼取り戻せ

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 スルガ銀行は5月15日、投資用不動産向け融資の全件調査の結果を公表し、1兆円を超える融資について何らかの不適切な行為や疑いがあったことを明らかにした。投資用不動産向け融資総額1.8兆円の実に6割にあたり、不正が蔓延(まんえん)していたことが浮き彫りになった。改めて不信感を募らせた顧客もいるはずだ。信頼を取り戻す道は険しいと言わざるを得ない。ただ、全容がはっきりしたことで、疑心暗鬼払拭(ふっしょく)にはつながる。ここを出発点に、不退転の覚悟で再建に取り組んでもらいたい。
 全件調査の結果、預金通帳の改ざんや偽造など7813件の不正が認められたほか、自己資金を立て替えた疑いのある融資が4014件見つかった。件数の多さにあきれるばかりだ。
 2018年度単体決算の当期純損失(赤字)は、与信費用が嵩み、970億円まで膨らんだ。自己資本比率は1年で3.35ポイント低下し8.8%となった。減少幅こそ縮小しているが、預金も1年間で9千億円以上減った。信用を重んじる銀行が顧客を裏切った代償は大きい。
 スルガ銀は再生への一歩として新生銀行、家電量販店のノジマとの業務提携を発表した。ただ、注目された資本提携については、今のところ公表されておらず、再生の難しさを印象づけた感もある。
 シェアハウス向け融資以外での延滞は少ないとされるが、割合が高い不動産融資は市場変動の影響を受けやすい。財務基盤強化は引き続き検討していく必要があろう。
 創業家との決別が遅れていることも課題だ。創業家の関係企業がいまだ13%の株式を保有しており、資本提携の障害になりかねない。自社株買いも検討するとしているように、一歩踏み込んだ対応が求められる。
 投資用不動産融資を軸にした高収益ビジネスモデルは崩壊した。提携した新生銀、ノジマのノウハウも活用し、地に足のついた事業モデルを構築してもらいたい。不適切融資の債務者救済にも丁寧に応じる必要がある。山積する課題を一つ一つ乗り越えていかなければ、信頼回復の道筋は見えてこない。2019.5.24


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