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社説 殻破り第4の本業育てよ

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 地域銀行の経営に厳しい目が注がれている。低迷する収益と、その打開策が見えてこないためだ。2019年3月期決算は7割の地域銀が減益となり、“地盤沈下”など辛辣(しんらつ)な言葉が向けられる。ただ、周囲以上に厳しさを感じているのは当事者だろう。新たな策を講じても、すぐ結果に表れないジレンマはあるが、手をこまねいていれば先細りが避けられない。預金・貸出・為替の三大業務に次ぐ4本目の本業を育てる視点で、従来の殻を破っていく必要がある。
 自民党の金融調査会地域金融機関経営力強化PTは4月にまとめた提言で、「金融仲介業務の深掘りだけでは持続可能な経営を維持できない状況も想定される」との見方を示した。そのうえで地域金融機関の性格・役割を再整理する必要があるとの考えを盛り込んだ。
 副作用は認識されながらも日本銀行の超低金利政策は当面続くとみるのが妥当だ。貸出金を中心とした金利収入の急激な改善は見込めない。過度に有価証券運用に依存すればリスクを抱え込む。技術革新を生かしたコスト削減と非金利ビジネス分野の強化を同時並行で進める必要がある。その際、自らの役割を改めて整理してみる価値はある。取引先のために、融資以外に何ができるのか。そこに収益を求めることはできるのか。突き詰めて考えてみたい。
 例えば、地域の中小企業は後継者難や人手不足問題を抱えており、こうした課題解決を支援していくことは有望だ。人材紹介業は規制緩和で手掛けやすくなっており、収益源にできる可能性はある。M&A(買収・合併)による事業承継支援なども課題解決と収益を両立できる分野だ。以前から取り組む販路開拓支援では、地域銀がかかわる地域商社の出資規制緩和なども検討されており、従来の銀行業の枠を超えた活動を可能にする環境整備は徐々に進んでいる。
 ただ、横並びで同じような器をつくっても収益には結びつかない。顧客や地域の課題をしっかりと把握し、自らの経営体力も見極め手を打つことが大事だ。現場の動き方を変える業績評価の見直しなども必要だ。2019.6.7


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