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社説 郵政グループは顧客本位根付かせよ

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 日本郵政グループ(G)で、顧客本位を疎かにした販売行為が相次ぎ明らかになった。ゆうちょ銀行では、高齢者への不適切な投資信託販売を防ぐために設けられた社内ルールを無視した例が多数見つかった。かんぽ生命保険は、契約乗り換えにより、顧客が不利益を被った可能性のある契約が2014年4月以降の5年間で1万8900件想定されると発表した。不適切な販売にはあたらないとしているが、目標ありきで、顧客本位やコンプライアンスが軽視された疑いは拭えない。再発防止へ社内風土の改革が急務だ。
 ゆうちょ銀は国内最大の預金を持つ。かんぽ生命も総資産で生保業界第二位だ。両社の規模を支えるのは顧客数の多さであり、身近な存在として長年、顧客が信頼を寄せてきたからにほかならない。今回見つかった不適切を疑われる事例は、その信頼を裏切る危うい行為だ。
 かんぽ生命では契約乗り換えに際し、既存契約解約後に新契約の引き受けを謝絶された事例や、契約乗り換え後、告知義務違反で契約解除され、保険金が支払われなかった事例が見つかっている。不利益を被った顧客の救済は当然だが、原因を究明し、再発防止に向け態勢を再構築する必要がある。
 日本郵政の長門正貢社長が評価体系の見直しに言及しているように、目標設定のあり方が営業現場を不適切が疑われる行為に走らせた可能性は高い。上場した郵政Gには株主から収益力強化を求める圧力がかかるとはいえ、目標達成のためにコンプライアンスを軽視するのは本末転倒だ。目標設定だけでなく、企業文化を根本から見直していかなければならない。
 今回、かんぽ生命が公表した数字は5年間分。当然、それ以前にさかのぼればという疑問も湧く。また、想定件数の多さは組織全体で顧客本位が、お題目になっていたと言われても仕方ない状況だ。ゆうちょ銀、かんぽ生命だけでなく、両社商品の多くを販売する日本郵便を含め、グループ全体に顧客本位、コンプラ意識を根付かせる必要がある。金融庁、総務省にも、しっかりした指導を求めたい。2019.7.5


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