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社説 協同組織性生かし存在感を

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 9月3日は「しんくみの日」。信用組合業界では1日から7日までを「しんくみの日週間」として、全国各地で社会貢献活動などを展開する。かつて500以上あった信組は現在、146信組まで減った。数的存在感は低下したが、地域や顧客にフォーカスし評価を高めている信組は存在する。法律上、信組は信用金庫に比べ、より協同組織性を強めた金融機関と位置づけられる。それぞれが改めて原点を見つめ直し、地域・職域・業域を支える活動を徹底してもらいたい。
 人口減少、中小・小規模事業者の廃業増加など、信組に限らず地域金融機関を取り巻く環境は厳しさを増している。地域銀行が地元回帰色を強め、ミドルリスク層を巡る貸出競争も激化している。信組が存在感を高めていくには組合員に寄り添い、課題解決支援に磨きをかけていく必要がある。規模やネットワークで銀行にかなわない部分はあっても、顧客との距離の近さは強みとなるはずだ。
 例えば、地域の新産業創出に取り組む秋田県信組。若者の定住促進へ最長51年の住宅ローンを提供する塩沢信組。地域通貨で町おこしを目指す飛騨信組。信組同士のつながりを広げる第一勧業信組。本業の預金・融資に徹底してこだわる広島市信組など、注目される例は少なくない。コア領域に特化し、支持を得る業域・職域信組もある。
 ただ、気になる点はある。全信組合計の2018年度コア業務純益は7%増加したが、当期純利益は15信組が赤字になるなど、信組間の差がでている。業界全体の底上げには7月から一体的運営にかじを切った全国信用組合中央協会、全国信用協同組合連合会の支援が問われる。
 1990年代から2000年代初頭にかけて信組の破綻が相次いだ。多くはバブル経済に躍ったツケであり、放漫経営と言われても仕方ない事例も散見された。こうした歴史を繰り返してはならない。20年には信組の発祥となった産業組合法施行から120年の節目を迎える。持続可能性を高める協同組織性を生かした信組ならではの挑戦に期待したい。2019.8.30


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