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社説 市場改革は投資家の視点で

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 金融審議会の市場構造専門グループが、11月20日に示した東京証券取引所の市場改革に関する論点は、踏み込み不足の感が否めない。柱は現在ある東証1部、同2部、ジャスダック、マザーズの各市場をプライム、スタンダード、グロース(いずれも仮称)の3市場への再編だ。プライム市場は国内を代表し、投資対象として優良な企業が集まる市場としたが、明確な時価総額基準などには踏み込まなかった。投資家の目線より、1部から降格することを危惧する企業への配慮が目立つ。
 今回の議論の背景にあるのは、各市場の違いが曖(あい)昧(まい)で投資家の利便性が低いことや、企業価値向上の動機付けの役割が不十分といった問題意識だ。2100社を超す1部上場企業数も多過ぎるという指摘がある。
 4市場を3市場に再編することは有効だろうが、新たに設けるとするプライム市場の時価総額基準は具体的に示されず、現在の1部市場との違いは、はっきり見えていない。現在の1部上場企業が希望すれば、ガバナンスの充実などに取り組むことを前提に、基準未満でもプライム市場残留を認めるとし、新陳代謝が進むのか疑問が残る。
 2019年4月末のニューヨーク証券取引所上場企業1社当たりの時価総額中央値は2149億円。ロンドンプレミアム市場は1402億円で、東証1部の480億円と開きがある。1部上場企業の大半が、プライム市場にとどまることになれば、その差は埋まらない。取引所間の競争力や、国際金融都市としての地位も高まらない。
 1部上場であることが、主要企業というブランドイメージにつながっていることは確かだ。しかし、そこに配慮し過ぎれば、誰のための改革なのか分からなくなる。投資家の混乱を回避するため何らかの経過措置は必要だが、基準未達の場合、他の市場に移るか、退出させる方が分かりやすい。企業経営のインセンティブとしても働くはずだ。
 12月中にまとまる報告書を受け、制度設計を行う東証には、投資家目線や市場の果たすべき役割を忘れることなく作業を進めてもらいたい。2019.12.6


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