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社説 震災25年、金融の使命を再認識

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 犠牲者6千人以上、家屋の全半壊約25万戸という大惨事となった阪神・淡路大震災から1月17日で25年になる。甚大な被害を受けた神戸を始め被災地域は復興を遂げた。その原動力となったのが、資金の安定供給で市民生活や企業活動をバックアップした金融機関だ。震災から四半世紀の節目に金融が持つ公共的使命を再認識したい。近年は自然災害リスクが高まっている。金融界は震災を機に広がった業務継続計画(BCP)に一段と磨きをかけてほしい。
 震度7を記録した大地震発生後、当局や金融機関の危機対応は素早かった。電気や交通網などのライフラインが寸断するなか、財務局と日本銀行は預金払い戻しの特別措置を迅速に発令。金融パニックを防いだ。
 約450カ店が営業不能となった金融機関は役職員の努力で一週間後に400カ店が復旧。住宅ローンなどの返済猶予や復興資金需要にも積極的に動いた。復興の過程で金融システム不安回避や円滑な資金供給に尽力したこうした取り組みは、現在につながる被災地金融支援のベースとなっている。
 震災は危機対応マニュアルやBCPを整備する契機にもなった。だが、近年は台風や豪雨などによる広域災害など想定外の被害が相次ぎ、今後は首都直下型地震や南海トラフ巨大地震も見込まれている。万一に備えた訓練の継続はもちろん、BCPを常に見直す必要がある。一方、中小企業庁によると中小企業のBCP策定率は約15%と低い。取引先にBCPの取り組みを促すことも大切だろう。
 被災地には震災直後の1年間で全国から137万人のボランティアが支援にかけつけ、「ボランティア元年」と呼ばれた。但陽信用金庫は震災を契機に高齢者などに対する「移送サービス」を全職員参加型で続けている。ボランティア休暇を導入する金融機関も増えており、さらなる広がりに期待する。
 1月17日は「防災とボランティアの日」。地域の防災・減災に向け、震災当時の経験や教訓を職場で語り継ぐとともに、災害時に一人一人ができることは何かを考える機会としたい。2020.1.17


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