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社説 70歳雇用時代に備えよう

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 希望すれば70歳まで働けるようにすることを企業に求める高年齢者雇用安定法の改正案が閣議決定され、2021年4月にも適用される。人手不足が進むなか、金融界も意欲や能力のあるシニア人材の積極活用は欠かせない。就労環境の整備が急がれる。一方、シニア世代の増加は人件費や若手・中堅層のモチベーションなどに影響が及ぶ。年功型賃金の見直しを含め、「70歳雇用時代」に備えた人事制度の再設計が求められる。
 少子高齢化で生産年齢人口の減少が加速している。総務省によると金融・保険業は就業者数の減少ペースが他業種より早く、今後5年で19%減ると試算。デジタル化による業務効率化が主因だが、業務密度が高まる営業現場では人手不足感が強い。就労意欲のある人に長く働ける場を提供すれば、そうした問題の緩和につながる。
 70歳までの就労機会を確保する動きは金融界で広がりつつある。多くが定年再雇用者の継続雇用で、年金や相続といった専門知識を生かした相談業務、若手行職員の指導などが期待されている。コミュニケーション力にたけたシニア人材は組織にとって貴重な存在となろう。
 課題は処遇のあり方だ。年齢に応じた年功型賃金のままでは人件費がかさんでしまう。シニア層を遇するあまり、現役世代の若手・中堅のやる気をそぐことになっては逆効果だ。学生の採用活動にも影響を与えかねない。制度設計に際しては賃金カーブや報酬体系の見直しは必須となる。ポストや評価基準を含め、従業員の納得感のある制度にしてもらいたい。
 シニア世代に意欲を持ち続けてもらうためには、就業期間の延長という物理的視点でなく、研修や資格制度を充実させることも検討すべきだ。そうすれば、シニアになっても組織で活躍できるという認識を今の若手・中堅層を含む全従業員に持ってもらうことにもなるはずだ。
 シニア活用の本質は組織全体の活力につなげることにある。「人生100年時代」を見据え、誰もがやりがいを持って長く働ける仕組み作り、組織風土の醸成に取り組んでほしい。2020.2.28


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