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社説 積み残された課題は多い

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 安倍晋三首相が8月28日、健康上の理由から後任が決まるのを待って辞任すると表明した。連続在任期間は歴代最長の7年8カ月。長期政権がもたらした政治の安定は評価できる部分がある。経済政策でも雇用改善やインバウンド需要取り込みなどの成果があった。一方で、負の遺産も生んだ。森友学園問題などで政権の私物化が指摘された。積極的な財政出動と異次元金融緩和によるアベノミクスは、副作用が目立つ。足元のコロナ禍対応に、ちぐはぐさがあったことも否めない。
 安倍首相は2012年12月の就任以来、デフレ脱却を掲げ、経済政策をテコ入れしてきた。日本銀行も呼応し、13年4月に異次元金融緩和を打ち出し、16年2月にはマイナス金利政策まで踏み込んだ。その効果で企業収益が回復し、株価が上昇したのは事実だ。
 ただ、5年11カ月続いた景気回復に対する国民の実感は乏しかった。日銀が当初、2年程度での達成を目指していた物価上昇率2%は、いまだ実現できず、超低金利が長期化。収益機会が減った金融界への影響は大きい。大量の国債保有やETF(上場投資信託)買い入れによる日銀の財務悪化懸念もくすぶる。
 積極的な財政出動により、12年度末に821兆円だった国債発行残高は19年度末に987兆円まで増えた。不人気政策の消費税率引き上げを在任中2回行ったとは言え、財政健全化の道は、より険しくなった。
 地方創生や一億総活躍社会など、次々と打ち出した看板政策も道半ばだ。地方の人口減少、東京一極集中は、歯止めがかかっていない。成長の起爆剤となるはずのデジタル化などにも遅れが目立つ。
 次期政権の最優先課題はコロナ禍の克服だが、それに合わせて官民で協力し、地方創生や中小企業の生産性向上を加速させなければならない。2020.9.4


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