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社説 実感できる提携効果示せ

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 静岡銀行と山梨中央銀行が10月28日、包括業務提携を結んだ。地元経済の成長につながる実のある施策の実現を期待したい。地域経済は、人口減少などに、新型コロナウイルス感染症問題が加わり、より疲弊感が濃くなっている。連携で、自らの収益性だけでなく、取引先の支援力を高められるかが問われる。
 両行は今後、5年間で100億円の連携効果を見込めるとした。7割はトップライン収益、3割が経費削減効果だ。地域や取引先が提携効果を実感するには、両行頭取が経営統合や合併でなく、連携を選択した理由に挙げた「スピード感」がカギになる。2019年7月に提携した横浜銀行と千葉銀行は提携1年でシンジケートローン900億円を実行するなど、目標比2.4倍の効果をあげた。
 今回、注目されるのは静岡銀が21年1月から稼働させるオープン系のシステムだ。システムの違いが、連携や経営統合の障害にならない時代に入る。山梨中央銀ともシステム統合を視野に入れており、実現すれば効果は大きい。
 地域銀同士の提携は活発化している。同一県内の青森銀行とみちのく銀行が現在、協議を進めている。3月に提携した福井銀行と福邦銀行は、資本提携に踏み込む。
 共通するのは“危機感”だ。静岡銀の県内貸出シェアは約3割、山梨中央銀は5割に迫る。安定した基盤はあるが、静岡銀の柴田久頭取は「コロナ禍や低金利など、我々の置かれている環境が背中を押した」と、将来への不安をのぞかせた。
 菅義偉首相が再編に触れるなど、地域銀経営に対する周囲の目は厳しくなっている。11月27日には、同一県内で貸出シェアが高くなる合併を認める独占禁止法の特例法も施行される。選択は経営者に委ねられるべきだが、環境変化に後れをとってはならない。2020.11.6


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