社説 年末資金繰り支援 万全に
新型コロナウイルスの感染拡大が長期化し、中小企業の苦境が深まっている。各自治体で営業時間の短縮要請が相次ぎ、飲食業などは厳しい状況が続く。売り上げ回復が見込めず、再び資金繰りがひっ迫する恐れもある。金融機関は年末の資金需要に例年以上にきめ細かく対応し、取引先支援に万全を期してほしい。同時に、経営改善や持続可能な事業への再構築を後押しすることも必要だ。
コロナ禍は中小企業に深刻な打撃を与えている。日本銀行のシミュレーションでは、2020年度の売り上げ減少率は大企業が前年度比8.8%となるのに対し、中小企業は同22%に達すると予測。特に飲食・宿泊・対個人サービス業の落ち込みが大きい。
感染防止に向けた再度の外出自粛で、こうした業種を中心に手元資金が不足することが懸念される。売り上げ期待が遠のき、年末にかけて廃業を決める事業者も増えてこよう。政府は12月末期限の実質無利子・無担保融資の延長を決めた。金融機関は地域を守るため、前向きな融資姿勢を継続してほしい。
今後はウィズコロナを見据えた本業支援も重要となる。地域でのネットワークを生かした販路開拓や人材紹介、事業承継などコンサルティング機能の発揮が期待される。政府は中小企業の業種転換費などに補助金を設ける施策を打ち出しており、事業の将来性が見込めない取引先への提案も選択肢にすべきだろう。
経営改善や事業の再構築を支えるうえでも、顧客に寄り添い対話する重要性は一段と増している。金融庁が10月に公表した「金融仲介機能の発揮に向けたプログレスレポート」では、メインバンクに融資以外の課題を「相談していない」企業が依然、約半数に上った。今こそ取引先と対話を重ね、伴走型支援を徹底する時だ。2020.12.11
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