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社説 健全性確保し、変革に挑め ウィズコロナ、顧客支援を期待

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 年初から発生・感染拡大した新型コロナウイルスにより国民生活、経済活動が一変した2020年。各金融機関は企業の資金繰り支援に奔走したが、21年は一歩踏み込んだ取引先支援への役割が増す。自らの健全性の確保とともに、次代に適応したデジタルバンキング戦略など新たなビジネスモデルの構築が急がれる。
 新型コロナウイルスは瞬く間に世界中を席巻。直近で感染者数は7800万人を超え、死者数は171万人を数える。世界経済は中国を除き、総じてコロナ前の国内総生産(GDP)の水準を下回る状況が続く。ただ、株価の回復の早さ、勢いは目を引く。各国の財政出動と中央銀行の金融緩和政策による“緩和マネー”が株式市場に流れ込んだ結果だ。「世界同時リスクオン」の潮流に相まって、20年11月にNYダウ工業株30種平均が初めて3万ドルを超え、わが国の平均株価も29年ぶりに2万6000円台を回復。21年もワクチンと米大統領の二つの「新」が株高を引っ張る見通しだ。
 国内に目を向けよう。コロナ禍で金融機関はその存在感を改めて発揮した。無利子・無担保融資を中心とした迅速な対応は見事だ。ただ、止血後の経営支援や事業再生はこれから正念場を迎える。事業者に寄り添う形で顧客支援力の発揮を強く期待したい。地域経済の活性化なしに健全性の確保はできない。
 人口減少や景気の停滞、5年を迎えるマイナス金利政策などにより収益環境はなお厳しい。従来の預貸金ビジネスは限界に近づく。収益力低下に歯止めがかからない地域金融機関に、政府と日本銀行が再編を対象とした支援制度を打ち出した。「地域経済を金融面から下支えすることにつながる」(麻生太郎金融担当大臣)としており、必要に応じた活用も選択肢の一つだ。
 金融界は大きな変革が求められる。社会や顧客ニーズの変化は速い。デジタル化は社会の要請であり時を待たない。フィンテック関連企業などとの連携で、デジタルバンキング戦略を加速させたい。同時に店舗網見直し、キャッシュレス化推進も欠かせない。加えて金融庁の規制緩和により、銀行業高度化等会社を中心に多様な業務に道が開かれる。地方創生への貢献でも真価が問われる。
 新常態(ニューノーマル)への対応は組織、個人ともに緊急課題だ。一気に進んだテレワークやオンライン会議によってオフィス・通勤概念が一変。本業以外の副業・兼業も珍しくなくなりつつある。ウィズコロナで、誰もが働き方を主体的に選択できる仕組みが望まれる。2021.1.1


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