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社説 米政策転換の影響に留意を

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 ジョー・バイデン氏が1月20日、第46代米国大統領に就任した。4年ぶりの民主党政権復活で、金融界も環境変化に備える必要がある。前トランプ政権と比べて政治の予見可能性が高まると期待される一方、気候変動対策や金融規制などで新たな対応を迫られる可能性が生じてくるためだ。新政権による政策転換の方向を見極め、その影響に十分留意しないといけない。
 バイデン氏は「米国第一主義」を掲げた前トランプ大統領の政策から一転、国際協調路線に回帰する方針を打ち出している。柱の一つが脱炭素社会の推進だ。メガバンク首脳は「規制環境に関する新たな変化が生まれてくるだろう」と見通す。仮に新政権が厳しい環境基準を貿易相手国に迫れば、金融界としても脱炭素化への取り組みを加速することが求められよう。
 金融規制の強化が取りざたされていることも懸念材料。前政権下で進められたボルカー・ルール(銀行の自己勘定取引規制)の緩和政策は修正され、「規制が再強化される可能性が高い」(エコノミスト)との見方が多い。レバレッジ規制なども含め、海外事業展開するメガバンクなどは警戒が必要となる。
 対中国政策を中心とした貿易・通商面の新たな動きのほか、為替動向への目配りも要る。米国の財政拡張路線を背景に為替相場は足元で円高ドル安基調にあり「地合いとしては16年以来の円高水準に近づきつつある」(三毛兼承・全国銀行協会会長)。金融機関は輸出企業など取引先の業況や実体経済の変化に注意を怠れない。
 もっともバイデン政権による大規模財政政策で米景気が上向けば、日本からの輸出や投資を喚起するなど国内経済にも恩恵が及ぶ。金融界は政権交代に伴う環境変化を適切にキャッチアップし、景気回復を呼び込むことも大事だ。2021.1.22


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