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社説 変革促す環境投融資が必要

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 金融機関の気候変動対応の重要性が高まっている。菅義偉首相が2050年までのカーボンニュートラルを宣言。金融庁も企業に環境関連の情報開示と、投資を促すため、サステナブルファイナンス有識者会議を立ち上げた。欧州では、コロナ禍からの経済再生へグリーンリカバリーが叫ばれている。米国のバイデン大統領も、地球温暖化対策の国際的枠組みパリ協定への復帰を表明し、世界的に脱炭素化の流れは強まる。
 金融機関に期待されるのは、投融資を通じて社会や企業の変革を促す役割だ。3メガバンクグループは中長期的なサステナブルファイナンスの目標額を示し、取り組みを積極化している。石炭火力発電向け融資残高は、40年ごろまでにゼロにする方針だ。
 ただ、投資家の目は、より厳しさを増す。可能な限り、前倒しで進めてもらいたい。脱炭素化移行を支える融資では、しっかりした目利きと、企業の変革が停滞しないよう実行後の適切な関与が欠かせない。“名ばかりグリーン”では、投資家の厳しい評価が待っている。
 情報開示の充実で内外から投資を呼び込む取り組みも必要だ。環境金融で先行する欧州は18年時点で総運用資産に占めるESG(環境・社会・ガバナンス)資産の割合が約50%に達する。一方、日本は2割に満たない。グリーンボンド発行額も見劣りする。
 取引先への影響には注意したい。脱炭素化の流れは産業構造を大きく変える可能性がある。例えば、裾野が広い自動車産業では、電気自動車への転換が進み、エンジン部品の需要減が予想される。社会の意識が変われば、オフィスビルなども、環境配慮型かどうかで選別されることになろう。金融機関には、事業転換を含め、気候変動対応を成長エンジンにするための取引先支援が求められる。2021.1.29


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