社説 コード改定機に多様性高めよ
今春、3年ぶりにコーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)が改定される。現在2人以上とされる独立社外取締役数の3分の1以上への引き上げや、管理職の多様性確保が加わる見通しだ。独立社外取締役数の新基準を満たしていない上場銀行・グループは限られるが、数合わせで終われば、改定の趣旨である「攻めのガバナンス」や「中長期的な企業価値向上」は実現できない。
金融庁などが設置する有識者会議は2020年12月にコード改定に向けた提言をまとめた。デジタル化の進展などを踏まえ、「今までの経営人材だけでコロナ後の経営課題を先取りすることは容易ではない」と指摘。そのうえで取締役会の知識・能力・経験などスキル構成の考え方が開示されるべきとした。
3メガバンクグループの独立社外取締役比率は既に5割前後に達する。地域銀行でも7割超が新基準を満たしている。女性社外取締役も増えているが、改めてスキル構成を点検する必要はあろう。
株主に限らず顧客・従業員・地域などステークホルダーの価値観は変化しており、金融界の常識にとらわれない社外取締役の“異見”は貴重だ。それを生かすには、適切な情報提供にもとづく活発な議論が欠かせない。一部の銀行でみられる取締役会以外の会議への参加も有効だろう。
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