「ニッキンONLINE」創刊!
 
HOME > 「ニッキン」最新号から > 社説 > 社説 デジタル化など課題は山積

社説 デジタル化など課題は山積

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 2021年度がスタートした。金融機関が向き合うべき課題は山積している。発生から2年目に入った新型コロナウイルスの終息時期はいまだ見通せず、影響を受ける事業者に対する本業支援の真価が問われる。デジタル化による顧客サービスの改善と、業務効率化・生産性向上も急ぐ必要がある。懸案だった税公金収納業務の効率化は、政府が後押しする姿勢を鮮明にしており、追い風にしたい。
 20年から世界で猛威をふるう新型コロナは、多くの業種に打撃を与えた。製造業など一部には回復の兆しがみられるものの、観光・飲食を中心に厳しい状況が続いている。
 全国銀行の21年2月末貸出金は535兆円。1年間に28兆円の大幅な増加を記録し、倒産抑え込みに寄与した。ただ、既に21年3月期決算予想を赤字修正した銀行があるように、今後は引当を工夫するとともに、本業の立て直しを本格化させなければ、自らの健全性に跳ね返ってくる。金融界全体で本業支援ノウハウの共有を図ることも重要だ。
 コロナ禍で広まった非対面取引に利便性を実感した利用者は多い。金融アプリのダウンロード数は大きく伸びており、デジタル取引を普及させる好機でもある。営業店の昼休業も急速に広がった。デジタルシフトと合わせて、ポストコロナを見据えた店舗のあり方を考える必要があろう。
 10月から銀行間手数料が新体系に変わる。一部では顧客向けに、月額課金制などサブスク型の料金体系が検討されている。利用者の満足を高める視点で、新たなサービスを構築する機会にしたい。
 金融庁は今夏にも合併・統合費用を補助する新制度を導入する。経営統合は経営判断とはいえ、数年来の課題である持続可能なビジネスモデル構築へ、どう自ら変革していくのか、地域・顧客・従業員に示すことが求められる。2021.4.2


ニッキンのお申し込み

ご購読のお申し込みは、インターネット・FAXで受付けしております。

申込用紙をFAX(03-3262-2838)またはお近くのニッキン支社・局までお送りください。

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事