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社説 営業現場のIT化急げ

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 金融機関の経営施策は、IT戦略抜きでは語れない時代になった。金融界は巨額のシステム投資を続けているが、IT化の恩恵がいまだ乏しいセクターが存在する。顧客と向き合う営業現場だ。世界中で猛威を振るう新型コロナウイルスの影響で生活様式が大きく変化し、新たな日常(ニューノーマル)に適した営業手法への移行が求められる。

 金融庁が2020年12月に実施した地域金融機関の調査では、営業担当者全員にメールアドレスを付与している金融機関は地域銀行で22%、信用金庫・信用組合では5%にとどまっている。同庁は情報通信手段の整備が不十分とみて、見直しを促すという。

 他の業種では個人アドレスを利用した電子メールで業務上の連絡を取り合う商習慣が定着して久しい。サイバー攻撃や情報漏(ろう)洩(えい)を防ぐ狙いもあろうが、時代遅れの感は否めない。ただ、私用のスマートフォンで外部に連絡する「シャドーIT」による個人情報流出などを指摘する声もある。リスク管理を最優先したうえで、組織的なITリテラシーの向上が必要だ。

 一方、営業担当者にノートパソコンやタブレット、スマホなどの業務用端末を1人1台配布する金融機関は、ここ数年で大幅に増えた。前出の金融庁調査では、地域銀の84%、信金・信組の33%が導入済みだ。コロナ禍で働き方改革が進み、さらに普及しよう。先進的な銀行では手元のこうした機器を使って、コンサルティング契約を交わした企業との意思疎通に「Teams」や「Zoom」などのウェブ会議アプリを取り入れる動きもみられる。

 ニューノーマルの下では、従来型の対面に加え、オンラインツールを組み合わせたハイブリッド型の営業スタイルへの移行が急がれる。ITを駆使し、地域・顧客に寄り添う新営業体制の確立を望む。2021.4.30


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