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社説 脱炭素支援は金融界挙げて

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 2050年までに温暖化ガス排出を実質ゼロにする目標を盛り込んだ改正地球温暖化対策推進法が5月26日、成立した。地方自治体や企業の排出量開示が義務化される。気候変動対応はこれまで大企業中心だったが、地域の事業者も避けて通れない。先行する大手行に加え、地域金融機関も自治体と連携して取引先に働きかけを強めてほしい。脱炭素支援に金融界を挙げて取り組む局面を迎えている。
 国内外で加速する脱炭素化の流れに積極的な対応を見せるメガバンクグループ。顧客の事業構造転換などを促すサステナブルファイナンスの中長期目標を掲げ、取り組みを強めている。炭素関連セクターとは対話を通じ、排出ゼロ・削減の後押しを始めた。行動計画に則り、目標必達に挑戦してもらいたい。
 地域金融機関でも大手地方銀行などで新しい融資手法に乗り出す動きがあるが、多くはスタートの段階。改正法を機に支援の強化が急がれる。特に東京証券取引所が新設するプライム市場では気候変動のリスク開示が要請され、上場地域銀行には投資家からの圧力も強まろう。
 地域の企業に変革を促すうえでは自治体との連携が重要になる。環境省によると約400の自治体が50年までに排出を実質ゼロにすると表明しているが、宣言どまりも多い。大半は今後具体策を検討する予定で、まずは自治体と長期目標の共有を始めたい。
 滋賀銀行のように、滋賀県と連携して地域版サステナビリティ・リンク・ローンを地元企業に実行する事例も出てきた。自治体のビジョンに呼応する形でファイナンスにつなげる取り組みが広がることを期待する。
 気候変動対応には一定の時間を要し、目に見える成果がすぐ表れるわけではない。長い目で企業の技術開発や事業転換を支えてほしい。2021.6.4


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