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社説 中小企業救う政策提言を

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 定例の協会長人事で、地方銀行と第二地方銀行の“顔”が代わった。全国地方銀行協会は6月16日に大矢恭好・横浜銀行頭取(59)から柴田久・静岡銀行頭取(57)に、第二地方銀行協会は翌17日に西川義教・愛媛銀行頭取(58)から安田光春・北洋銀行頭取(61)にそれぞれバトンを引き継いだ。いずれも任期は1年。コロナ禍で多大な打撃を受けている地方経済の回復が最重要課題となるタイミングでの登板だけに、政府や経済界、顧客など全方位に向けた力強い情報発信を期待したい。
 金融界は変革期にある。デジタル化の進展で利用者の行動様式が変わり、地域銀行はこれまでにないスピードで有人店舗を集約している。それでも新規参入者に比べれば、堅牢な勘定系システムや営業網を抱える高コスト体質は一朝一夕には変えづらい。
 ただ、地域銀には異業種や他業態に勝る強みがある。各地域で強固な地盤(高シェアの顧客基盤)や看板(信用力・知名度)のほか、厚い資本・貸出余力を持つ点だ。いかにこの強みを生かすかに命運がかかる。次世代を見据えた施策を練り実行に移せる経営資源(ヒト、モノ、カネ、情報)にも富んでいる。今国会で成立した改正銀行法など規制緩和を追い風に、従来よりも一歩踏み込んだ地域活性化支援に取り組んでほしい。
 コロナ対策では、実質無利子・無担保(ゼロゼロ)融資で急場をしのいだ中小企業が据置期間を終える前に、本業の回復を後押しする役割こそ最重要課題だ。メインバンクを務める社数は地銀が国内企業の約4割、第二地銀が約1割。両業界を合わせれば半数に及ぶ。中小企業と強い接点を持つ地域銀の代表として、政府・与党に対して率直な意見具申が必要となる場面も出てこよう。地域経済を守るべく、現場の実態を踏まえた骨太な政策提言と活動が望まれる。2021.6.18


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