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社説 対話路線の継承・発展を

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 7月8日付で金融庁の長官に中島淳一氏(58)、金融国際審議官に天谷知子氏(58)が昇格した。いずれも官僚の最高位である次官級ポストだ。2000年の同庁発足以来、理系出身の長官は初めて。14年に新設された金融国際審議官を含め、局長級以上に女性を起用するのも最初となる。
 新味のある二人は共通点を持つ。旧大蔵省(現財務省)の入省年次が1年違いの両氏だが、それぞれ同期に「将来の長官」候補や「次の金融国際審議官」候補が別に存在した。ゆえに本命と見る向きは少なかったが、両氏の温厚な人柄と実直な仕事ぶりを評価する声は以前から多かった。その資質を生かし、金融界との良好な関係構築を望む。
 金融機関に厳しく対(たい)峙(じ)する同庁のコワモテな印象は近年変わりつつある。2代前の遠藤俊英長官は「心理的安全性」を掲げ、金融機関への“上から目線”を改めようと腐心した。前任の氷見野良三長官は「金融育成庁」として振る舞うべく、コロナ禍のなかで前例のない地域銀行トップとのオンライン面談を精力的にこなした。二人の行動を間近にみてきた新長官には、対話路線の継承・発展を期待したい。
 国民生活や経済活動のインフラである金融機能を維持するには、金融に携わる事業者が安定的な利益を確保し続けることが前提になる。同庁が、変革に二の足を踏む地域金融機関に警鐘を鳴らすのも、厳しい収益環境から抜け出せないことに対する危機感の表れだろう。どのような生き残り戦略を描くかは、本来は企業が独自に判断すべきことだが、金融庁はあえてその領域にまで踏み込んで経営者と議論を深める姿勢に転じて久しい。ただ、強い検査・監督権限を持つ同庁が金融機関から本音を引き出すには幾重もの工夫が必要だ。新体制ならではの斬新な取り組みを打ち出してほしい。2021.7.16


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