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社説 対露制裁の国際協調保て

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 隣国の政権を転覆させるためウクライナに軍事侵攻したロシアに対し、日本を含む各国は国際協調を保って譲歩する隙をみせてはならない。
 米国と欧州諸国は、ロシアの銀行をSWIFT(国際銀行間通信協会)から排除することで合意し、日本政府も追随を表明した。SWIFTは国際決済ネットワークとして事実上、独占的なサービス提供者であり、金融面で国際的に孤立させる効果は大きい。
 過去、核開発疑惑のあるイランやミサイル発射を繰り返す北朝鮮に対してSWIFT排除が発動された前例はあるが、異例の制裁措置となる。さらに、米欧はロシアの中央銀行に対しても初の制裁を決め、為替介入によるルーブルの通貨防衛手段を封じた。
 ロシアは、石油・天然ガスをはじめとした世界有数の資源輸出国である。そうした資源の輸入に頼る国々など世界経済への反動が予想される。それだけに、当初は足並みが乱れた欧州諸国が最も強硬な金融制裁に踏み切った意義は大きく、ロシア経済への打撃は小さくないだろう。
 自由な企業活動を支える金融インフラが、国家間の軍事的な争いで遮断されることは残念だ。ロシアの一般国民に経済的困窮を強いる人道的問題も横たわる。だがプーチン大統領はウクライナの主権を武力で踏みにじり、西側に核兵器の使用を示唆して核保有国同士の緊張を高めた。国際社会は平和的解決の道を探りながら、経済制裁を通じた持久戦を覚悟すべきだろう。
 欧州勢に比べて邦銀のロシア向け与信は限定的だ。ただ、少子高齢化で国内市場が細まる日本では、今後も企業の海外展開が加速するだろう。その活動を資金面で支える国内金融機関には、今後も地政学リスクがつきまとう。今回の危機を教訓として、不測の事態に即応できる体制を常態的に築いておく必要がある。2022.3.4


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