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社説 沖縄振興に積極的関与を

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 5月15日、沖縄の日本復帰50周年を迎える。沖縄県は第二次世界大戦末期の地上戦で甚大な被害を受けた。敗戦後は27年間にわたって米国の統治下に置かれ、戦後復興が遅れた。1972年の本土復帰後も、他地域に比べ突出した米軍基地負担を強いられてきた。他にはない環境下で沖縄経済の振興に貢献してきた地元金融機関に称賛を送り、さらなる奮起を期待したい。
 この半世紀で沖縄の県内人口は約1.5倍、県内総生産は約10倍に増加。だが、一人当たりの県民所得は全国で最も低く、他の都道府県との格差是正が長年の課題となっている。観光業やインバウンドへの依存度が高い産業構造のため、コロナ禍の影響は深刻。コロナショック前の2019年度の観光客数は約947万人、観光収入は7047億円と好調だった。それが、20年度は観光客数が7割減、観光収入が6割減と落ち込んだ。
 沖縄県は地元金融機関の取引シェアが高く、地域経済に対する責務も重い。県内企業のメインバンクは、琉球銀行、沖縄銀行、沖縄海邦銀行の上位3金融機関で9割以上を占める。各金融機関は現下の非常時に際し、果敢な経営判断で難局を乗り切ろうとしている。その象徴が、県内シェア1位の琉球銀と2位の沖縄銀の提携だ。両行は21年1月に包括業務提携を締結。ライバル同士がバックオフィス業務を共同化してコストを削減し、沖縄経済活性化への取り組みで力を合わせる。
 ただ、地域金融機関の奮闘だけでは、他地域との経済格差を埋めるのは難しい。沖縄県の人口当たり補助金受取額のうち、国庫支出金は全国1位。財政依存型経済から自立型経済への移行を図るには、政治に加え民間企業のバックアップが欠かせない。その一環として、大手金融機関にも地元勢と積極的に連携を図ってほしい。2022.5.13


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