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社説 新体制で二大テーマに挑め

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 金融庁は6月24日、局長級などの幹部人事を発令した。長官と金融国際審議官のトップ2人は留任し2年目を迎えた。3局すべての局長が交代したが、いずれも既存の路線を熟知する主要幹部の昇格・配置換えであり、安定感のある顔ぶれだ。新体制で「貯蓄から資産形成へ」とスタートアップ(SU)支援の二大テーマを推し進めてほしい。
 岸田政権が掲げる「資産所得倍増プラン」の柱の一つとして、同庁はNISA(少額投資非課税制度)の拡充策を年内にも策定する運びだ。この30年、日本の平均給与は横ばいが続く。一向に増えない手取り収入をリスク資産に投じるには相応の勇気がいる。その背中を押すことがNISAの政策意図だ。普及に弾みがつかない理由の一つは非課税期間に制限があること。そして複雑な制度設計だろう。
 お手本にした英国のISA(個人貯蓄口座)は導入10年目に恒久化とシンプルな制度内容への改善が実現し、低所得層にも利用が広がった。NISAも導入9年目に転機を迎えている。チャンスは何度もやってこない。恒久化には税務当局である財務省の首を縦に振らせる必要があり、金融庁の交渉力が試される。
 もう一つの期待は事業成長担保権の法制化だ。実現すれば新興企業のノウハウや知的財産、将来のキャッシュフローなど形のないものを担保に融資を受けられる。土地や設備など有形資産を担保とする従来の融資慣行とは異なる発想だ。SUへの資金供給を後押しする効果が期待できる。
 高度成長を終えて成熟期を迎えた日本経済が衰退期に入るのを防ぐには起業家の育成が欠かせない。SU育成が現政権の目玉施策となったのは追い風であり、法制審議会での議論をリードしてほしい。
 ともに国の将来を好転に導く施策であり、実現へ人的資源の最大限投入を期待する。2022.7.8


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