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社説 労組は賃上げへ役割発揮を

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 金融労組界で、10月にかけて新たな組合年度が相次ぎ始動する。2022年春の労使交渉では政府による「人への投資」促進を追い風に、メガバンクなどで賃上げの実施が見られたが、地域銀行労組の多くはベースアップ要求を見送った。物価上昇はなお続いており、実質賃金の低下懸念は強まる一方だ。新執行部には23年春の賃上げ交渉に向けた積極的な取り組みを望む。
 22年春闘では、賃上げの交渉材料に用いる消費者物価指数の暦年平均がマイナスだった。加えて、依然厳しい経営環境や新型コロナウイルスの感染再拡大などの影響を踏まえ、大手金融機関で賃上げ要求したのは三菱UFJ銀行従組など一部に限られた。
 もっとも、大手では経営側が政府の要請に呼応して賃上げに踏み切る動きもみられた。大手労組にはリード役として、この流れを自ら加速できるかが問われてこよう。
 一方、地銀界では労使ともにベアに慎重だった。22年春闘では地銀労組連絡会の構成44単組のうち42単組が要求を見送った。資源高や円安による取引先への影響を不安視するなど、経営環境の先行き不透明感が強いためだ。
 とはいえ、足元の物価高は従業員の暮らしを直撃している。物価上昇率は6月まで3カ月連続で前年同月比2%を超え、約30年ぶりの高い伸びだ。この結果、厚生労働省の統計では実質賃金が4、5月と2カ月連続で前年同月比減少。このままでは企業の活力を失いかねない。労組は適正な経済要求という重要な役割を、今こそ発揮すべきだ。
 ジョブ型雇用の導入など働き方の多様化も進む。それだけに、個々の組合員の意見を反映する仕組み作りもますます重要になる。職場環境の改善に向けて、時には経営と対峙(たいじ)する場面も増えてこよう。新執行部は従業員代表としての発言力を高めてほしい。2022.8.5


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