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社説 手形全面電子化へギア上げよ

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 手形・小切手の交換を画像データでやりとりする「電子交換所」での決済が11月4日に始まる。これまで手形交換所に持ち寄っていた紙の券面をスキャンして送受信する新たな仕組みで、事務効率化のメリットは大きい。ただ、電子交換所はあくまで完全電子化までの過渡的な手段だ。金融界は2026年度末までに紙の利用を廃止する目標達成に向け、体制作りを一段と加速してほしい。
 全国銀行協会が設立した電子交換所は7月にシステムを稼働した。金融機関間の交換業務をイメージデータの送受信で完結できるため、災害への強靭(きょうじん)性が高まり、紛失リスクも極小化される。遠隔地における資金化の時間短縮も期待できる。各金融機関は決済開始までに事務習熟や取引先への周知に努めたい。
 電子交換所での決済開始後も事業者は引き続き、紙の手形を利用できる。ただ、これが結果的に電子化移行の遅れにつながるようなことがあってはならない。紙での交換枚数を5年間でゼロにする最終目標への経過措置と捉え、「でんさい」やインターネットバンキングによる振込への移行に向けた働きかけを粘り強く続ける必要がある。
 むしろ、こうした電子決済サービスに誘導する好機と捉えたい。実際、電子交換所での決済開始を機に、手形・小切手の交付手数料を引き上げる金融機関も出てきた。紙から電子決済への切り替えを促すインセンティブの検討も一手となろう。
 一方、長年の商慣行や“取引の重み”などから手形・小切手の利用ニーズは依然根強い。でんさいの利用は伸びてはいるが、地域や業種で利用率に差がある。金融界が自主行動計画に基づき毎年取り組みをフォローアップするのはもちろん、政府にも広報活動など後押しを望む。官民で推進のギアを上げてほしい。2022.8.19


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