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社説 「県内連合」の再編効果に期待

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 主要国で唯一、マイナス金利政策が続くわが国で、地域金融機関の窮状が続いている。ある地域銀行トップは現下の経営環境を「真綿でじわじわと首を絞めつけられるような感覚」と表現する。
 国内銀行の収益構造は金利収入の比率が圧倒的に高く、利幅の薄い低金利下では一般企業の売上高に当たるトップライン(経常利益)を増やす手だては限られる。ボトムライン(当期純利益)を維持・増強するには、経費削減に目を向けざるを得ない状況だ。
 日本銀行による地域金融強化のための特別付利は銀行に対し単独での経費削減や再編による効率化を通じて「筋肉質の経営体質づくり」を促す施策で、最終年度を迎える。金融庁が再編費用を補助する資金交付制度も狙いは同様だ。
 こうした当局の後押しもあって地域銀再編が加速している。9月29日には八十二銀行と長野銀行が経営統合に向けて基本合意。ほんの数年前なら同一県内のトップと2位が一緒になる再編は想定しづらい選択肢と言えた。独占禁止法の制約に加え、根深いライバル意識があったからだ。
 前者の障壁は、同一県内の地域銀再編を独禁法の適用除外とする特例法によって取り除かれた。後者も、マイナス金利以上に深刻な課題である人口減少社会が既に始まっており、経営層の意識は変わりつつある。八十二銀の松下正樹頭取が同日の会見で「これからは競争から『共創』」と語ったのはその象徴だろう。
 長野銀が八十二銀の子会社になるグループ化の手法は、福井・福邦両行の先例に似通う。子会社になる側の取引先や従業員の心情を考えれば、持ち株会社の下に両行がぶら下がる方が影響は少ない。だが追加的コストの抑制や時間節約の観点からは理にかなっており、「名よりも実を取る」決断に映る。両行を含め、ここ数年で同一県内の再編に動いた地域銀の県内サービス向上に期待し、今後の進展を見守りたい。2022.10.7


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